休館日:9月9日(月)と17日(火)
-------------------対談-------------------
土方明司(平塚市美術館館長代理)X 山内滋夫
9月14日(土)15:00より
会場:ギャラリーTOM
一般500円 小中学生200円
視覚障害者及付添い各300円
絵画は、世界へと開かれたひとつの窓である、という喩えはじつに美しく、忘れがたい。山内滋夫の近作、新作をまのあたりにするとき、まさしくそれらもまた、もうひとつの日常へと感覚を開放してくれる、やはり窓であることを実感する。そこには、周到に計算され、組み立てられた虚構の絵画空間がまぎれもなく存在する。技法的には、伝統的な木枠に張られたカンヴァス(ただし、定形の既製品ではなく、特注の変形であることも大事なポイントだ)に魔法をかけられたようにイメージが現出する。そのこと自体は一見通常の絵画空間であるようにみえる。
しかし、なにか奇矯な手癖のようなものがここにはいっさい認められない、むしろ厳格な思考の痕跡としてそのイメージは存在するという確かさ、ゆるぎなさがここには前景としてある。それは「絵」(あるいは「画」)というよりも「図」という言葉にふさわしい世界ではなかろうか。世界の独自の「図化」が、まさしく図られているのだ。この意志の存在が、このイメージの世界が認識の対象であることをはっきりと表明している。
2019年7月 水沢 勉 [神奈川県立近代美術館館長