休館日: |
会期中無休 |
開館時間: |
10:30-18:00 |
入館料: |
無料 |
この春国展に美しい作品を残して山縣さんは旅立ってしまった。その作品は最後の力を注いだお別れのメッセージだったのだ。今思うと山縣さんはいつも明るく爽やかで時に面白い批評をし労を惜しまず誰からも頼られ親しまれる人だった。
そんな山縣さんが開いた前回の個展は山縣さんの本人そのままという誰もが納得する作品展だった。それは子供服がテーマである。毎日一緒に暮らしている子供に着せたい服、これ以上実感があって、作り甲斐のある題材があるだろうか。
作者は至る所に創意と工夫を凝らした。中には鎧のように重くなって子供が迷惑したろうと思う作品もある。
用に媚びることなく、素材と技術をフルに活かして猛烈に集中して織り上げた小さな子供服はどれもファッションドレスなどではなく「かわいい」という一言では到底納まらず、珠玉のように輝いていると言うほかなかった。
山縣さんは織りの仕事を心から楽しんだのだという気がする。彼女のメッセージはここで終わっているとは思えない。山縣さんの生き生きした面影が私達の間にはっきりと残っているのだから。
2009年11月 柚木沙弥郎
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